
熊本のI様からのご依頼です。
経年によりピックガードが表板を引っ張ってしまいホール周辺にクラックを作った上、かなり反り上がっていました。
完成後はバランスのとれた太い音が響いていました。
所見
70年代のGibson J-50 Deluxe
Gibson のスクエアショルダー時代の上位機種です。
いわゆるマーチンクラックと呼ばれる状態ですね。
セルロイド製のピックガードが表板を引っ張って割ってしまい、そのまま反り上がっています。



特にネック側がすごいことになってます。

ネック側は約5mm

ブリッジ側約3.5mm


ピックガードもすでにとれはじめていました。
とれました。結構しっかりくっついていました。

ピックガードをとるだけでかなり下がります。
ネック側3.5mm、ブリッジ側1.5mm
この後、ボディの中に水を含んだ布を容器に入れて仕込みホールに蓋をします。
最初はおもしはなし。後半は少しずつおもしを足していきます。
毎日観察するのですが、今回は10日ほど時間をかけました。

ネック側1.5mm、ブリッジ側0.8mm
これ以上は動かなそうでしたので次の作業に入ります。







この時点でピックガードはかなり縮んでます。この後もっと縮みます。


まずは、せりあがっていた部分をブレーシングに貼り付けます。
ネック側はネック付近もしっかり接着できるように専用カウルを作ります。

この間暇なのでネックのお掃除


今回のクリーツたち。
変な形の二つはホールの淵につくもの。
見えたり触られたりする可能性があるので見栄えも少し考えて作ります。



まずはホール側貼り付け。


続いてその奥。
ブリッジ側はマグネットで場所を出してから、マグネットをクリーツにつけた状態で貼り付けます。
ネック側はマグネットが使えないのでジャッキであげます。

ということで完成
この後、写真には撮ってないのですが、割れ溝を膠で埋めます。膠は接着面同士を引っ張っる性質があるので、溝を細くしてくれます。といっても今回はほとんど隙間がない状態までもどってくれてました。その後ピックガード接着とその周りのギャップ埋めの塗装がありました。
お客様のご希望で元のピックガードを使用したいということでしたが、ピックガードの縮み具合がすごく、左右とも5mmていど隙間ができてしまっています。この力が全て表板にのしかかっていたと思うと恐ろしいですね。
ギャップ埋めの塗装はそれだけで2日半ほどかかりました。塗っては乾かし、乾かしては塗り、最後はただただ研磨。





そして完成。もちろんよく見ると割れ箇所、ギャップの部分はわかるのですが、ぱっとみ全くわからない状態になりました。心配してた反り返しも起こらず綺麗な状態です。
お客様が20年ぶりくらいに取り出したらこの状態だったそうです。かなりショックだったでしょうね。。 これからは若い頃を思い出して弾かれるそうです。
とてもバランスの良い太い音がしました。
